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グラジオラス公爵家のお茶会に招かれたローザは、夕方になっても戻ってこなかった。
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ローザの代わりに公爵家から使いの者がきて、ローザの帰りが遅くなることを知らせてくれた。
日が暮れてもローザは戻ってこない。もしかすると、公爵家に泊まるつもりなのかもしれない。
今日、処理すべき仕事を終えた僕は、なんとなくエントランス(玄関)ホールへと下りていった。
少し前までは、いつ帰ってくるかわからない僕を、ローザは寝ずに待っていてくれた。
僕が乗った馬車の音を聞きつけて、帰宅した僕をめがけてローザはかけてくる。
『おかえりなさい、デイヴィス』
はじけるようなローザの笑顔。結婚当初は、その笑顔を見るだけで一日の疲れが吹き飛ぶような気がしていた。
それなのに、ローザが待っていてくれることが当たり前になり、いつからか、僕はローザに笑顔を返すことがなくなっていった。
『おかえりなさい』と言われたのに『ただいま』とも返さなくなった。
あのときのローザは、どんな気分だったんだろう?
僕は、いつ帰ってくるかわからないローザを待ってみようかと思った。
でも、僕自身、ローザに帰りを待たれると、責められているような気がしたことを思い出す。
「そうだ……。僕たちは、程よい距離でいると契約を交わしたんだから……」
帰りを待つのは、契約から違反しているような気がする。
これ以上ローザに嫌われたくない僕は、エントランスホールをあとにした。
寝室に戻ると『これが正しい選択なんだ』と自分に言い聞かせて眠りについた。
次の日の朝、ローザは食卓に現れなかった。最近では、一緒に食事をとることのほうが少ないので、別におかしなことではない。
ジョンに「ローザは?」と聞くと「奥様は、夜遅くに戻られて、今はまだおやすみになられています」と教えてくれる。
「そうか」
ローザは、公爵家に泊まらずに帰って来てくれたんだと思うと嬉しくなる。
疲れて眠るローザの邪魔をしたくない。僕は、食事を終えるとローザのことを忘れるように、仕事に集中した。
*
それからというもの、僕はローザと交わした契約をしっかりと守った。
ローザに嫌われるようなことは一切していない。それなのに、数か月後、僕の執務室を訪れたローザは、とても固い表情でこう言った。
「私、今、仕事がとても順調なの」「そうらしいね」
僕もその話は耳に入ってきている。だからこそ、忙しく過ごす妻の邪魔をしてはいけないと、きちんと気を遣って距離をとっていた。
僕が仕事で忙しいときにしてほしかったことを、ローザにすることで、僕なりの誠意をローザに示している。
あの日、『離婚をしない』と決意してくれた彼女を、僕はもう二度と裏切らない。
ローザは、苦しそうに瞳をふせた。
「だから……今はまだ子どもがほしいと思えないの。一年くらいかしら……仕事が落ち着くまであなたと寝室を共にしたくないの」
僕はローザの言葉が理解できなかった。
「……え? どういうこと?」
ローザは僕の質問に答えず、視線をそらす。
「そんな……だって、僕はちゃんと君との契約を守って……? そうだ、契約! そんなの契約違反じゃないか!」
ローザと交わした契約には『月に一度、寝室を共にする』と書かれていた。
「そうね。だから、こうして、契約内容を変更してほしいとお願いにきたの」「そんなのおかしいよ! 今の僕は何も悪いことをしていないのに!?」
僕の言葉に、ローザは傷ついたような顔をする。
傷ついているのは僕のほうだ。
月に一度のふれあいさえなくなったら、僕とローザの縁は完全に切れてしまう。
僕は、あせりと恐怖で必死だった。
「仕事なら、他の人に任せればいいよ! 君の代わりに仕事をする人なら、いくらでもいるんだから! でも、僕の妻は君だけなんだよ!?」
ローザの顔が目に見えて強張った。
「デイヴィス……」
言葉の続きを聞きたくなくて、僕はローザの言葉をさえぎった。
「契約の変更はできない! 後継者つくりは貴族の義務だ! それを放棄するなんて、いくらなんでもひどすぎる!」「……わかったわ」
そういったローザの顔から、もうなんの表情も読み取れなかった。
「ローザ?」
声をかけても、僕を見てくれない。
「……契約は変更してくれなくていいわ。今までどおり過ごしましょう」「ありがとう! 思い直してくれて嬉しいよ!」
ローザの様子はおかしかったけど、『今までどおり』という言葉に安心した僕は、ホッと胸をなでおろした。
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